「東洋思想」あって活きる鍼灸

知っているか。いないか。で大きく違う。「東洋医学」において最も大切なこと。

2000年以上「東洋医学」を支える考え方

「思想」というと、なんだか難しく感じてしまいますね。

それに、人によっては宗教っぽく感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

 
という記事も書いてきましたが
 
「東洋医学」「鍼灸」をご存知でなかった方も、

どういったものか、なんとなく分かって頂けたかと思います。

 

現代医学は、目に見えるものと科学的なデータによって構築された医療です。

東洋医学はどうかというと、

江戸時代以降、科学の進歩によって少しずつ科学的に解明されたことがありますが、まだ分からないことだらけ。

 

東洋医学(中国医学)の歴史をみると

中国 前漢の時代(紀元前90年頃)

中国前漢の武帝「司馬遷」によって編纂(へんさん)された

『史記』と呼ばれる歴史書の中に

その時代に名医と呼ばれた「扁鵲(へんじゃく)」と「倉公淳于意(さうこうじゅんうい)」の事跡を記した「扁鵲倉公列伝」というものがあります。

つまり

記録として残っている限りでも

東洋医学には2000年以上の歴史があるということです。

 

独自の「思想」や「理論」と、

「経験」の積み重ねによって2000年以上続く医療。

分からないことがいっぱいあるというのも頷ける気がします。

 

分からないことだらけの東洋医学ですが

2000年以上も積み重ねられてきたということは、

それだけ長きにわたって続くだけの

「効果」「意味」があったということが言えます。

そして、その積み重ねを支える為には、

それだけの「理論」「思想」「考え方」というのがあります。

「気」という考え方

 

「気」なんて言うと、

急に神秘的な怪しい感じに思う方も多いかと思いますが

(私もそう思っている1人)

 

オーラが見えるとか、念が使えるとか、元気玉が投げれるとか

(ジャンプネタ失礼しました。)

ではなく

中国には東洋思想(中国思想)といったものがあり、

その思想の中の1つである「気」という思想が

医学をはじめ、人々が健やかに生活していくための知恵として

とても重要視されてきた「歴史的事実」があるということです。

 

「気」とは?

宇宙の生成から生命現象にいたるまで、すべて「気」を根底において理解し、解釈しようとする考え方である。

「東洋医学概論」から引用

 

もっと分かりやすくすると

「気」というものがある。という前提に、
人の体のことは勿論、全ての自然現象が「気」の働きによって出来ている。
そしたらあら不思議!
全ての現象が説明できてしまう。

ざっくりと言えばこの様な感じでしょうか。

 

「気」の歴史的な流れ

春秋戦国時代の戦国時代から秦、漢の時代にかけ(紀元前500年以降)に

「老子」「荘子」らによって「精気思想」として発展しました。

 

「老子」「荘子」といった哲学者の名を、

聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

東洋哲学(中国哲学)の偉人です。

 

東洋医学との関係

これまでのお話からも

東洋思想というのは東洋哲学と言えるものでもあり

切っても切りはなせるものではありません。

つまり「東洋医学」という医学は、

「東洋思想」「東洋哲学」といった考え方を土台として成り立っているのです。

 

東洋思想の繋がり

人と自然

東洋思想には「気」の思想以外にも

  • 天人合一思想:
    人体の形や機能は、自然界の変化と釣り合っている。という考え方
  • 天地人三才思想:
    天の陽気と、地の陰気とが調和することによって、人の気が生成されるという考え方。

といったものもあり

古代中国では

これら思想を用いて、あらゆる現象「森羅万象」を理解しようとしていました。

 

「陰陽」そして「五行」

鍼灸の臨床運用において、

これ以上優れた方法はまだ生み出されていないとも言われます。

そして、鍼灸の理論を成熟させたのも

「陰陽論」「五行説」という東洋思想です。

 

「陽」と「陰」

「陰陽」という言葉は文字の通り

日が当たるか、当たらないかという事から発生した考え方です。

「陰」の意味

丘+今(「禁」と同義)+云(「雲」と同義)の会意文字で、

日の当たらない丘の側面を意味している。

「東洋医学概論」から引用

 

「陽」の意味

丘+日+勿(玉光が下に放射するさま)の会意文字である。

「東洋医学概論」から引用

 

生活の中心が農業であったことから

日当たりの良い土地ち(陽)、水が多い土地(陰)に関心が向いたのかもしれません。

 

「五行」

五行という考え方(思想)の考え方は大変古いんです。

それこそ

紀元前1700年代の殷(商)の時代までさかのぼる事ができます。

 

その5つの性質、代表的な物質を

「木」「火」「土」「金(ごん)」「水」と表現し

それぞれの性質から

「青」「赤」「黄」「白」「黒」という「五色」

「東」「南」「中央」「西」「北」という「五方」

「春」「夏」「土用」「秋」「冬」という「五時」

色や方位、季節をこれら5つの分類に別け、

中国の風土を理解するために用いていたようです。

 

日本でも

キトラ古墳(奈良)の壁画に描かれる

「青龍」「朱雀」「白虎」「玄武」と呼ばれる四神。

(五行説に合わせて、中央には「麒麟」や「黄龍」を置いたりする。)

これらも東洋思想の五行説の影響を受けていると言えます。

 

陰陽五行論に関しては

その事柄だけでも、大変多くの情報がありますので

細かい内容はまた次の機会に。

 

「東洋思想」あって活きる鍼灸のまとめ

  • 東洋医学は、独自の「思想」「理論」、

    そして「経験」の積み重ねによって2000年以上続く医療

  • 古代中国では、あらゆる現象を「気」という考えで理解しようとした
  • 「気」という思想は、東洋哲学によって発展した
  • 東洋医学の基礎には、「東洋思想」「東洋哲学」がある
  • 人と自然界の変化が釣り合うという思想もある
  • 鍼灸の臨床で「陰陽五行論」以上に優れた方法(考え方・思想)は
    2000年以上経った今でも存在していない
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