健康の知恵「『舌』の状態と『心』の動き」- 心火編③ –

『舌』の状態で長生きかわかる?

健康の知恵
「『舌』の状態で長生きかわかる?」- 心火編③ –

 

前回は「心火」の熱性、汗などについてのお話しをしました。

今回は

前回の「燃えて焦げたら苦い」というセクションでお話しした中で、

心火」と「」との関連について、

所長のすね先生とアシスタントの2匹のネコ達との会話を通じて、

より理解を深めて頂ければと思います。

 


【これまでの記事】


 

前回のおさらい

 

すね先生
少し間隔が開いてしまったけど、
前回のお話の内容は覚えているかな?
チョビ
まったく!やるのが遅すぎるよ!
ぼんやりとしか覚えていないけど、、、
「心」は「心火」と言うように熱性の働きがあって、
体の保温力や発汗の働きがあるんだっけ?
モー
あと。
「熱性」「火性」の働きから連想できるように、
火気は苦味を生み、苦味は心気を補うんでしたよね。
すね先生
うんうん。
しっかり覚えているじゃない!

今日はその続きで、
モーが教えてくれたように「火気は苦味を生み、苦味は心気を補う」。
その苦味を感じる「舌」と「心火」の関連についてお話していくよ。

 

心和すれば舌は能(よ)く五味を知る

 

すね先生
前回のお話しの中で、「苦味」について触れたよね?
※前回「燃えて焦げたら苦い

その中で
「心は舌を主る」「竅(あな)に在りては舌となり」という部分があったのを覚えているかな?
チョビ
うん、覚えているよ。
これまでの事から、心と舌が関連していることはわかったけど、
「竅(あな)に在りて」というのはどういう意味?
すね先生
漢字でさえ普段目にしない字に加えて、
ひらがなで「あな」と言われてもよく分からないよね。

この「竅(あな)」というのは、
「七竅(しちきょう)」と言って、頭に開いている穴のことなんだ。
耳が左右で二つ、鼻が左右で二つ、目が左右で二つ、口が一つ、合わせて「七つの竅(あな)」「七竅」と言うんだ。

また、別の古い書物には「舌」と「心火」との繋がりについてこういった一文があるんだ。
五蔵常内閲于上七竅也。
故肺気通於鼻、肺和則鼻能知臭香矣。
心気通于舌、心和則舌能知五味矣。
肝気通于目、肝和則目能弁五色矣。
脾気通于口、脾和則口能知五穀矣。
腎気通于耳、腎和則耳能聞五音矣。
 
五蔵は常に内より上七竅を閲するなり。
故に肺気は鼻に通じ、肺和すれば則ち鼻能く臭香を知る。
心気は舌に通じ、心和すれば則ち舌能く五味を知る。
肝気は目に通じ、肝和すれば則ち目能く五色を弁ず。
脾気は口に通じ、脾和すれば則ち口能く五穀を知る。
腎気は耳に通じ、腎和すれば則ち耳能く五音を聞く。

出典:黄帝内経「霊枢」脈度篇

現代語訳「黄帝内経霊枢」上巻から引用

すね先生
漢字ばっかりで分かりにくい文章が多いけど、これは分かりやすいんじゃないかな?
モー
はい、確かにこれは分かりやすいですね。
意味が正しいかはわかりませんが、、、

五臓の気は体内から上って七竅に通じている。
肺気は鼻に通じている。肺の機能が調和していれば五臭を嗅ぎ分けることができる。
心気は舌に通じている。心の機能が調和していれば五味を判別することができる。
肝気は目に通じている。肝の機能が調和していれば五色を見分けることができる。
脾気は口に通じている。脾の機能が調和していれば五穀の味を味わうことができる。
腎気は耳に通じている。腎の機能が調和していれば五音を聞き分けることができる。

こんな感じでしょうか?
チョビ
凄いねモー!
いつからそんなに分かるようになったの!?

それじゃすね先生。
舌は食べ物の味を判断する場所でもあるけれど、
逆に舌の状態をみればその人の心火の状態が分かるということ?
すね先生
上手に訳せているよ。
そして、チョビもいい質問だね!
それじゃその質問についても答えていくね。

 

「舌」の状態で「寿命」、「生命力」が分かる?

 

すね先生
実際には熱や冷え、気の滞りなど色々な働きが関係するんだけれど、
チョビが質問してくれたように舌の状態から心火の働きを知ることができるんだ。

最初に心火の説明をしたときに、
心は「君火」で五感や意識活動を主る中枢。という話をしたよね?
まず、そのことからも五感、味覚を主るのが「心火」であることはイメージできるかな?

さらにイメージして欲しいんだけれど

心火は色で言えば「赤」。
温度で言えば「熱」の働きがあると説明したよね?
心火の働きがしっかりしていれば、血そして熱が伝わり、
舌は潤いのある綺麗な淡紅色、ピンク色で、舌表面のぷつぷつがいっぱいあり、舌先は赤みを帯び、舌の筋肉がよく動く。
そうすることで、味を判別し、ご飯を上手に食べ、しっかりとした滑舌で話ができるんだ。

だけど、心火の働きがうまく働かなくると、
味覚がはっきりしなくなったり、
血や熱などをうまく巡らせることができず、舌は青っぽくなったり紫色っぽくなったり、舌の白いぶつぶつが部分的もしくは全てつるつるになったり、舌の筋肉がうまく動かず、ご飯を食べることがうまくできず、滑舌が悪くなったりしてしまうと考えるんだ。
チョビ
ご飯がうまく食べられないとか、うまく喋れないなんて凄い大変じゃない!
すね先生
一大事だよね。

ストレスなどが原因して、味覚が分からなくなる人がいるけれど、
そういう人はストレスにより気、そして血を巡行することができなくなってしまい、
心火、そして舌が機能しなくなってしまった。と考えることができるんだ。
モー
すね先生。
舌の動き、滑舌というと、頭の病気で上手にお話しできなくなってしまう場合がありますが、
現代医学的には頭が原因であっても、東洋医学では心火の働きが関係しているわけですね?
すね先生
その場合には「心」が問題ではなく、
これからやる「腎水」という働きとのバランスが問題となったりする場合があるけれど、
血管でもあり、血液や酸素、栄養、免疫などを全身に送るポンプの「心火」の働きが大きく影響していると考える事ができるね。
チョビ
そういえば、この前TVでやっていたんだけれど、
舌の動き方が悪いと、嚥下障害や誤嚥性肺炎を引き起こすって言っていたのは関係あるの?
すね先生
そうだね。
嚥下障害、そして誤嚥性肺炎というのは年齢が大きくなった時にとても問題になることなんだけれど
舌を中心とした筋肉がうまく動かないことで肺炎を起こしてしまい
それが原因で体力を落とす、それこそ亡くなられる方は結構多いんだ。

先生が凄いなーと思うのは
2000年以上昔も今と同じように誤嚥性肺炎により亡くなる人がいて、
中国では様々な生命活動の中枢となる心火と舌というものを関連付け、
舌というものの重要性を知っていたんだよね。
そして、
「舌が良く動く、舌が長い人は長生きをする。」
と、舌から人の生命力や寿命を見ていたのかもしれないね。
チョビ
そっか!
それじゃ私はまだ元気に生きていたいから、
今のうちから舌の運動をするようにするよ!

 

健康の知恵
「『舌』の状態で長生きかわかる?」- 心火編③ –のまとめ

  • 心火は舌を主る
  • 心の機能が調和していれば五味を判別することができる
  • 舌の状態から、心火の働き、生命力を知ることができる
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