健康の知恵「『心』の『汗』を流そう!とか『熱』『苦』しい」- 心火編② –

 「夏」は「暑」く「汗」をかく。
これみな「心火」の働き。

健康の知恵
「『心』の『汗』を流そう!とか『熱』っ『苦』しい」
– 心火編② –

 

前回から「心火」についてのお話しが始まりました。

今回は前回、大まかにご説明した中から
心火」の主だった特徴と性質について少し触れましたが、所長のすね先生とアシスタントの2匹のネコ達との会話を通じて、より理解を深めて頂ければと思います。

 


【これまでの記事】


前回のおさらい

 

すね先生
それじゃ前回のおさらいをしてみようか!

まず心火の働きは覚えているかな?
チョビ
しっかり覚えているよ!

「心臓でもあり血管でもある。血液や酸素、栄養、免疫などを全身に送るポンプ。」だったよね?
そして、ポンプとして送り出すものにはそれ以外に「熱」があるって言っていたよね。
モー
また、東洋医学の「心」はその機能が生命の大本であるとともに、
精神活動の中枢であり、無意識に行う体の働きや五感なども主っているんですよね。
すね先生
その通りだよ。
「肝木」の様に「心火」の働きも東洋医学では広い意味合いがあるんだ。

今回は「心火」の特徴である「火」の性質をみていこうか。

 

「火」から連想する「心火」の働き

 

すね先生
「肝木」の時のように五行の表を見て「心火」のイメージが出来るかな?

過去記事:五行の分類
チョビ
えっ、、、
イメージって、さっきも言ったように「熱」に関連するとか?
すね先生
うん。合っているよ!
チョビが言ってくれた様に「火」という字が示すように「熱」に関連する。

それじゃ、モーはどうだろ?
モー
「肝木」の時は基礎知識も乏しかったので余計イメージしにくかったですが
「心火」はイメージしやすいですね。

「心火」というように、「火」は赤色で「熱」の働き「陽」の性質を持ち、
季節で言えば「夏」、1日で言えば「昼」に心火の働きが高まるんですよね。
また夏の暑い時期にかく「汗」も心火の働き。

ざっくりと言えばそんな感じでしょうか?
すね先生
うんうん、モーはほとんど「心火」の働きがイメージ出来ているようだね。

チョビは、今モーが言ってくれたことはイメージがつくかな?
ポイントとしては、1つ1つの働きがもつ共通点となる特性がイメージ出来ると分かりやすいかもね。
チョビ
うん、確かに言われてみれば私もイメージできるかも!
すね先生
それじゃ、イメージしやすいところで「熱」と「汗」の関係を考えてみようか。

 

「熱」があるから「汗」が出る

 

すね先生
まず「心火」というのは、栄養や酸素などとともに熱を全身に送っている。と言ったよね。
体の暖かい、寒いには幾つもの要素が関わっているけれど、
全身の体温の高い、低いは「心」によって決まるのは分かるかな?
心火の働きが強くなれば体温も高くなり、低くなると体温も低くなる。

でも一定の体温を保っている恒温動物の人にとって、
体温が上がり過ぎても下がり過ぎても問題。
以前のお話があった「中庸」という考え方からもそれは分かるよね?
過去記事:【鍼灸と切り離せない】 「中庸(ちゅうよう)」という考え方

そのため、体は体温が高くなりすぎると熱は「陽」の性質のものだから
体の上に、体の表面に集まり、毛穴を開いて「汗」を出し、体を冷やして体温を保つんだ。

モー
すね先生!
それはつまり、「心火」の働きがしっかりしている時は体温を上げたい時にしっかりあげられて、
下げたいときにもしっかり下げられるということですね。
心火の働きが強ければちゃんと汗をかくことができて、体を冷やすことができると。

では、心火の働きが弱いなどすると汗をかく量が減ると考える訳ですよね?
ということは、汗があまりかけない人は心火の働きが弱っていて、体温を正常に保つ働きがしっかりしていない。
体温調節がすぐにできず、安定した体温を保つのに時間がかかるうえに、
保温力や冷却力が弱く、暑がりであり、寒がり。
ということですね。
すね先生
その通り!
「冷汗」「脂汗」って状況があるように、
汗には体を冷やす以外の発汗もあり
汗が出る仕組みは心火の働きだけでは無いけれどね。

多汗は心火の働きが旺盛で、保温力、発熱力が強く、冷却力も高い証拠。
病的な発汗は、必要性に応じて一時的に心火の働きを亢進させているんだ。
チョビ
すね先生、すね先生。
ちなみに私はそれほどでもないけど、すね先生やモーのように
寒がり、冷え性の他の原因にはどんなものがあるの?
すね先生
うん、大切なことだね。

冷え性にも幾つかのパターンがあって、そのパターンというのがこんな感じかな。
○体の表面「陽」がしっかりしていない場合。
○皮膚を主る「肺金」の働きが不十分で、体表面の守りが薄く体を冷やしやすい場合。
○「熱」を作り出す燃料が乏しい場合(肝木、腎水、脾土どれかの働きが不十分)。
チョビ
なるほど!
じゃあ、モーは普段あっちこっち散歩に行っているから心火の働きはしかっりしていいそうだけど
皮膚を主る「肺金」って働きが弱いのが原因かもしれないわけだ。
モー
そうですか、、、
まだ「心火」のお話が始まったばかりですが、「肺金」のお話を聞くのが楽しみです。
 

燃えて焦げたら苦い

 

すね先生
改めてだけど、「心火」の説明について東洋医学の古典にはこんな記述があるんだ。

南方生熱。

熱生火、火生苦、苦生心、心生血、血生脾。

心主舌。

其在天為熱、在地為火、在体為脈、在蔵為心、

在色為赤、在音為徴、在声為笑、在変動為憂、

在竅為舌、在味為苦、在志為喜。

喜傷心、恐勝喜。熱傷気、

寒勝熱。苦傷気、鹹勝苦。

 

南方は熱を生ず。

熱は火を生じ、火は苦を生じ、苦は心を生じ、心は血を生じ、血は脾を生ず。

心は舌を主る。

其の天に在りては熱となり、地に在りては火となり、体に在りては脈となり、蔵に在りては心となり、

色に在りては赤となり、音に在りては徴となり、声に在りては笑となり、変動に在りては憂となり、

竅に在りては舌となり、味に在りては苦となり、志に在りては喜となる。

喜は心を傷り、恐は喜に勝つ。熱は気を傷り、

寒は熱に勝つ。  苦は気を傷り、鹹は苦に勝つ。

 

出典:黄帝内経「素問」陰陽応象大論篇

現代語訳「黄帝内経素問」上巻から引用

すね先生
次回の以降の話にも関連があるからもう少し分かりやすく説明するね。

太陽が昇る南の方角は陽気が盛んで熱を発生させる。
熱は火気を盛んに生じ、火気は苦味を生じ、苦味は心気を滋養し、心気は血気を変化生成する。
血気は充足すると脾を生じ養う。

心気は舌と関連している。
その変化を説明すると、天からは太陽の熱気となり、地では火気となり、人体にあっては血脈となり、五臓にあっては心となり、
五色の色にあっては赤となり、五音にあっては徴となり、五声にあっては笑となり、病変の現われとしては憂いとなり、
竅にあっては舌となり、五味にあっては苦となり、こころの変動にあっては喜となる。

喜びは心を損なうが、恐れは喜びを抑えられる。
熱は気を損なうが、寒気は熱を抑えられる。
苦味は気を損なうが、鹹味(しおからい味)は苦味を抑えられる。

チョビ
うーん、なんだかよく分からないところもあるけれど
「火気は苦味を生じ」っていうのは分かりやすいね!
だってご飯を火で温めていて、温めすぎて焦がすと苦いんだもの。

あっ!
ここには無いけれど、五臓の表にある「五臭」の心火にあたるのが「焦げ臭い」というのはそういうことか!
すね先生
その通り。
色々なもののイメージが繋がってきたかな?

今回はこの辺りでお終いにしようと思うけれど、
次回はこの説明と五臓の表の中身をもう少し詳しく説明していくね。

 

健康の知恵
「『心』の『汗』を流そう!とか『熱』っ『苦』しい」- 心火編② -のまとめ

  • 「心火」は陽性の働きがあり体を温める。
  • 冷やす時は「汗」によって冷却する。
  • 「心火」によって体温を安定に保っている。
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