「アトピーとステロイド」一鍼灸師の私見
鍼灸院には「アトピー性皮膚炎」を患うお子さん、そして長期にわたり患う大人がいらっしゃいます。
そして来院されるほぼ全ての方が、「アトピー性皮膚炎の情報」、「ステロイドの情報」を主にネット、最近ではSNSの情報から得ています。
もしかすると、この小さなブログにも有益な情報が無いかと訪れる人がいるかと思います。
先日、Twitter上で大変興味深いツイートを見付けました。
【NEW!】寄稿しました。その前編。
— ほむほむ@アレルギー専門医 (@ped_allergy) 2019年4月9日
ステロイド外用薬に不安を抱くのは普通のことです。
その方々にアトピーの治療でお伝えしたいことを心を込めて書きました。
青鹿ユウさん(@buruban )の素晴らしいイラストに深謝。
「ステロイドの塗り薬は、安全?危険? (前編)」 https://t.co/tbrQpcfcXy
東京慈恵会医科大学葛飾医療センターでアレルギーの専門医をしている医師が書いた記事です。
可愛いイラストの挿絵も交え、アトピー性皮膚炎とステロイドについて、とても有益な情報を書いています。
このツイートの記事は前編ですが、後編も是非!!読んで頂きたいです。
「アトピー性皮膚炎」の考え方 – 東洋医学の視点 –
東洋医学から考える「アトピー性皮膚炎」の詳しい病態は、予備知識無しだとかえって混乱を招きますのでまた別の機会にまとめたいと思います。
今回は、これまでの記事内容を踏まえながら、イメージのしやすさを重視しつつ、東洋医学の大まかな考え方をお伝えします。
大まかな内容とは言え、「アトピー性皮膚炎」に対する施術においてとても大事な視点です。
考え方のポイントとしては以下の3つ。
熱を冷やす働きが弱い
熱が皮膚にこもりやすい(溜まり易い)
皮膚(バリア)が弱い
東洋医学の視点における病の原因は、「気血」「陰陽」「五行」それぞれのバランスによって、その方その方によって少しずつ異なります。
「気」が滞ることによって、熱の発散が妨げられ皮膚炎を起こす。
「血」の滞りによって、皮膚に熱がこもり皮膚炎を起こす。
「陰」の働きが十分では無く、熱を冷やすことが出来ず皮膚炎を起こす。
「陽」の働きが強く、体を冷やす働きが追い付かず皮膚炎を起こす。
「五行」の皮膚を主る働き(肺金)の働きが正常に働かず皮膚炎を起こす。
多少具体的に5つの原因を書きましたが、先に綴ったようにこれはごく一部です。
皆さんに知って頂きたいのは、
鍼灸師をはじめとした東洋医学に従事する者は、
ただ「免疫の以上により皮膚炎を起こしている。」とだけ考えることはせず、「気血」「陰陽」「五行」といった、複数の視点で「アトピー性皮膚炎」の状態、原因、改善の方法を考えています。
「ステロイド」に対する思い
「ステロイド」
腎臓の上にある「副腎」から作られる副腎皮質ホルモン(ACH)の1つ。
主に体の中の炎症、免疫の働きを抑える作用のあるもの。
「アトピー性皮膚炎」に限らず、様々な免疫の病気に使われていることは、皆さんなんとなくご存知かと思います。
とても便利で優れたお薬。
ですが、様々な「副作用」に目がいってしまう方が多い薬でもあります。
「優れた薬」のネガティブイメージ
「副作用が色々ある」=「悪いお薬」だと認識した方は、その方の周囲にいる人に対しても「ステロイド」の「ネガティブイメージ」をもたらします。
周囲の人には「薬の良い面」は伝えられず、その薬が持つ「副作用」、「ネガティブイメージ」だけが伝えられます。
その結果
「よく知らないけれど、使わない方がいい薬」という「薬のイメージ」だけが広がっていきます。
そう。
「イメージ」です。
免疫の働きに対して作用する特性から、その薬の「良さ」とともに、様々な「副作用」もあります。
ですが、薬に限らず様々なことに共通する大切なことは「適切な使い方」です。
「アトピー」改善に大切な視点
最初にご紹介した、東京慈恵会医科大学葛飾医療センターでアレルギーの専門医をしている医師の記事をご覧いただけたでしょうか?
「ステロイド」には「良い面」も「悪い面」もあります。
ですから、「使用するべき時」はちゃんと使い、薬に頼り過ぎないよう「使用しなくても大丈夫な時」状態をみながら加減する。
適切に「ステロイド」と「保湿剤」を使用しているのに、なかなか状態が芳しくない時は、異なる視点でお体の状態を診る「東洋医学」、「鍼灸」を頼ってみてください。
東洋医学において大切な視点は「中庸」です。
過去記事:【鍼灸と切り離せない】 「中庸(ちゅうよう)」という考え方
「主治医の先生の方針」や、「ステロイドの使用」、「アトピーの症状」などに対して、悩みの感情は勿論、戸惑いや葛藤される方は少なくありません。
そんな時、偏ることなく、幅広い視点で物事を判断する東洋医学がお話を伺い、整理し、鍼灸の施術が体を整えるお手伝いをします。
「ステロイド」
「保湿剤」
「鍼灸」
それぞれ良さがあり、互いに補いきれない部分もあります。
それぞれの良さを最大限に活かすこともできます。
そして「不正確なイメージ」「不正確な情報」に振り回されることなく、「アトピー」「ステロイド」と向き合うことも大切です。
「アトピーとステロイド」一鍼灸師の私見のまとめ
- 鍼灸は「気血」「陰陽」「五行」、複数の視点で「アトピー性皮膚炎」の状態、原因、改善の方法を考えている。
- 「アトピー性皮膚炎」の改善には、「ステロイド」と「保湿剤」の上手な使い方が大切。
- 「不正確なイメージ」「不正確な情報」に振り回されることなく、「アトピー」「ステロイド」と向き合うことが大切。