健康の知恵「肝=肝臓?」 – 肝木編① –

鍼灸師ではなくても、少しの理解で確実に健康のお役に立つことでしょう

健康の知恵「肝=肝臓?」 – 肝木編① –

 

前回は「陰陽」のお話を振り返りつつ、実際の体の症状「花粉症」における陰陽の変化について話をしました。

今回はからは何回か連続して

人の体の五行(五臓)についてお話していきたいと思います。

まず第一回目となる今回からは「」と呼ばれる働きの性質や特徴などを、所長のすね先生とアシスタントの2匹のネコ達との会話を通じて、より理解を深めて頂ければと思います。

 

 

すね先生
前回は、「花粉症」という症状を例に「陰陽」のお話をしたけど覚えているかな?
モー
はい。勿論。
「花粉症」は「陽性」で、それを基本に全身の状態を診て陰陽のバランスを整える必要があるんですよね?
すね先生
その通りだね。
花粉症の炎症状態(陽)をいかに落ち着かせる(冷ます:陰)かがポイントだね。
少しずつ東洋医学の思想が分かってきたところで、今日からは「陰陽」ではなく体における「五行」について話をしていこう。
チョビ
体の五臓なら覚えているよ!
「肝」「心」「脾」「肺」「腎」だよね!
すね先生
その通り!
今日は冴えているね!
チョビ
何言ってるの~
いつも通りだよ♪

 

「肝臓」と「肝」って同じなの?

 

すね先生
今日からは鍼灸の施術でもとても大切な「五臓(「肝」「心」「脾」「肺」「腎」)」についてお話していくね。
まず最初は「肝」から!

「肝」と言えば、多くの人が「肝臓」を連想するんじゃないかな。
「肝臓」には大きく分けて5つの働きがあるのは知っているかな?

○「代謝」機能
○「胆汁の生成」機能
○「解毒」機能
○「血液量の調整」機能
○「造血促進&血液凝固因子の生成」機能

もっと大別して分かりやすく言うなら
「物を良い状態にして出荷する工場」と「栄養と血液のタンク」といった感じかな。
モー
なるほど。
なんとなく「肝臓」については分かりました。
でも、「肝臓」と東洋医学の「肝」は同じものなんですか?
すね先生
良い質問だね!
機能的に同じ部分はあるんだけれど、「肝臓」と東洋医学の「肝」は同じではないんだ。

「肝臓」は体の中にある1つの内蔵(臓器)を指しているけど、東洋医学のではもっと広い使われ方をしていて、全身の器官やその働き、性格や体質なども説明したりするんだ。
これは他の五臓においても同じなんだよ。
 

「肝」に関連する体の器官・機能

 

すね先生
チョビとモーは様々なものを五行をに分けた表を覚えているかな?
チョビ
勿論覚えてるよ!
すね先生
本当かなー?
もし思い出せなかったら過去の記事を見直してみてね。

過去記事:五行の分類

しっかり覚えているなら、表の中で「肝」と関連している体の器官はどんなのがあったかな?
チョビ
えっ、まずはモーが先に答えてくれるよ!
モー
チョビが聞かれたのに…
五官(根)の「」や五主の「」、五華・五支にある「」ですね。
すね先生
代わりに答えてくれてありがとう。
その通り!
表を見ることで「目」「筋」「爪」が『肝木』と関連があることが分かるね。

過去記事の表には無いんだけれど、『肝木』に関連する体の器官や機能としては「肝臓」「胆のう」「神経」「筋」「腱」「爪」「皮膚」「目」「涙」「下肢」「全身の運動性」といったものなども分類することが出来るんだ。
チョビ
へー
「肝臓」と「胆のう」というのはなんとなく想像がつくけれど、東洋医学ではこういったものがみんな「肝」の働きなんだね!

 

古典にある「肝木」の説明

 

すね先生
「肝木」について説明した内容を、古典でも見てみようか。

肝者、罷極之本、魂之居也。

其華在爪、其充在筋、以生血気。

 

肝なる者は、罷極の本、魂の居なり。

其の華は爪に在り、其の充は筋に在り、以て血気を生ず。

出典:黄帝内経「素問」六節蔵象論篇

肝者、将軍之官、謀慮出焉

 

肝なる者は、将軍の官、謀慮焉より出づ。

出典:黄帝内経「素問」霊蘭秘典論篇

現代語訳「黄帝内経素問」上巻から引用

チョビ
また最初からよく分からないのよ~(涙)
すね先生
確かに「罷極の本」って分かりにくいね。
「罷(ひ)」という字は、よく政治家の方が問題を起こし職務を辞めさせる時に「罷免(ひめん)する。」なんて言うけど、他の意味としては、「疲れる」って意味があるんだ。
「疲労」の「疲(ひ)」と同じということだね。

それで「極(きょく)」という字は、「きわめて」という意味があることから、「罷極の本」といのは「「肝」は心身の緊張による疲労が溜まる大本」という意味になるんだ。

そして「魂」=判断力や計画性などの精神活動をつかさどっていて、「肝」の調子は「爪」や「筋肉の動き」の変化として現れ、「気」や「血」を養う働きもあると書いてあるんだ。

そして、「肝」は知恵と勇気にたけた将軍様に例えられて、やはり様々な計画や判断、考慮をするときに力を発揮すると書いてあるんだ。
 
モー
なるほど。
心身の疲労が続くと「肝木」の働きが弱くなり、爪の様子や筋肉の固くなり、冷静な判断力が出来なくなってしまうんですね。
チョビ
まだなんとなくよく分からないけれど、疲労が溜まると爪が変形したり、筋肉がつったり、精神的にもイライラや、おどおどして色々決断できなくなったりもするってこと?
すね先生
2匹とも今日は頭が冴えているね!
その通りだよ。
『肝木』が関連する器官や機能についてもう少し詳しく話をしていきたいと思うけどどうする?
チョビ
難しいことをいっぱいやって精神疲労が凄くって、顔の背中の筋肉が痙攣しだしたし、冷静に考えられなくなってきたから次の機会にするよ…
すね先生
そうしようか。
春の時季は「肝木」の働きが活発になって、色々活動が出来るようになるぶん、それだけ疲れが溜まりやすいんだ。

『肝木』の木の枝となる細かい枝(器官、機能)はまた次回にしよう。

 

さらなる健康への知恵 - 五行「肝木編」 -のまとめ

  • 『肝木』は「肝臓」「胆のう」「神経」「筋」「腱」「爪」「皮膚」「目」「涙」「下肢」「全身の運動性」などと関連する
  • 心身の緊張による疲労は『肝木』を弱らせ、爪の変形や、筋肉運動の不調の他にも、精神的なイライラや、おどおどし決断力がなくなったりする
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