「気(氣)」という言葉
東洋医学の世界では、
特に本来の「鍼灸」の理論に沿って施術を行う先生方を中心に
「気」という言葉が頻繁に用いられられます。
その「気」という文字、言葉。
今回はまず導入として漢字から簡単にイメージしてみたいと思います。
「気」漢字から考える
「気(氣)」 意味:①くうき。すいじょうき。「気化」「気体」「大気」 ②天地間に生じる自然現象。また、一年を二四に分けた一期間。「気候」「気象」「磁気」 ③いき。呼吸。「気管」「気息」「呼気」 ④ようす。けはい。おもむき。「気運」「気品」「景気」 ⑤におい。「香気」「臭気」 ⑥心のはたらき。意識。性質。「気力」「気分」「短気」
漢字ペディアから引用
現代を生きる多くの方が
以上の様な、日常的に使われる言葉を想像されたのではないでしょうか。
その言葉をより噛み砕いたイメージにしてみると、以下の2つの意味を想像されたことと思います。
「自然界の働き」「目に見えない働き」「触れない働き」
日頃「気」という文字を意識している方は少ないかと思いますが、
今の日本において、主に自然現象やその働きといった言葉の中に
「気」という文字が使われています。
「気体」や「水蒸気」といった言葉は、
科学的には「酸素:O2」、「二酸化炭素:CO2」、「水:H2O」、「窒素:N2」、「水素:H2」などの様な物質で表現されています。
ですが、これら5つの化合物において、
量が多くなることで目で認識できるのは「水:H2O」だけです。
自然界の現象、働きとして、
目で見えるものとしては「スパーク」「電気」がありますが、
自然界で使われる多くの「気」という文字が使われる言葉は、
存在はしているものの、
普段の生活の中では目で認識することは出来ません。
医学と関係しますが、
人や生物の働きによって行われる、呼吸「呼気」なども
その働きを理解できても、その姿を捉えることはできません。
ただ、空「気」が通る「管」「気管」という構造は、
多くの人が一生の中で直接お目にかかることはないですが、
目で直接見ようと思えば見ることができます。
自然界で使われる「気」の多くが目で見ることが出来ませんが、
次の働きはより目でその形を捉えたり
手で触って確かめることは出来ません。
「感覚の働き」と「心の働き」
漢字の意味には
④ようす。けはい。おもむき。「気運」「気品」「景気」
⑤におい。「香気」「臭気」
⑥心のはたらき。意識。性質。「気力」「気分」「短気」
漢字ペディアから引用
とありますが、その状態や変化の様を感覚によって知ることはできますが、
その実際の姿、形を捉えることは難しいです。
甘党鍼灸師の私からすれば
甘い匂いの物質はあるのでしょうけど
気体ですし、目で捉えることも手で触ることもできませんし
美味しそうではありませんね(笑)
特に⑤の「におい」は
臭い発する物質を見ることはできるのでしょうけれど
⑥の様な心の働きは見ることは叶わないでしょう。
(頭に電極を付け、「脳波」という形で見ることはできますが。)
改めて「気」という文字が使われている言葉を見ると、
私たちは生活している中で、
目に見え、物として触られなくとも
無意識のうちに「気」という概念に触れ合っていることが分かります。
東洋医学の世界(より大元にある東洋(中国)思想)では
現代では科学的にも解明されつつある物質、働きを
自然界の現象を発生させる働き、力として抽象的に捉え
多くの物事の変化、現象の表現に用いています。
「東洋医学」「東洋思想」から考える「気」については
また次の機会に。