「血(けつ)」という言葉
以前、「「気」という考え方」というタイトルで
東洋医学に用いられる「気」について漢字からイメージしてみました。
そして今回は、
「気」と同じように鍼灸の施術において重要なワードである、東洋医学における「血(けつ)」について、「気」と同じように感じからイメージしてみたいと思います。
「血」漢字から考える
「血」 意味:
①ち。ちしお。「血液」「出血」
②ちのつながり。ちを分けた間がら。ちすじ。「血族」「血統」
③ちが出るほどはげしいさま。「血戦」「血路」
④いきいきとさかんなさま。「血気」「熱血」
漢字ペディアから引用
「血」という漢字の主な意味は、
皆さんが想像するように「血液」です。
また「血筋」「血族」「血統」のように、
血液から連想される言葉に用いられています。
「血」という文字の成り立ちをみてみると
「血」という漢字は「皿」という字に似ていますよね?
古代中国の象形文字、甲骨文字からみると
神にささげる生贄の体液(血)を皿に盛った形から成り立ったと言われます。
古代中国に限らず、
日本の昔話など世界的に同じような話がありますが
古代社会では自然災害などの災いを「神」と結びつけ、その神に対して動物を生贄に捧げていました。
ちなみに
その最上級の生贄は「人」であると考えられていたようです。
今の時代の感覚からすればとんでもない話ですが
人の力が及ばない自然の猛威に対して
家畜などではない
大切な人の命、肉体、血を差し出すことで、その程の引き換えとして神に許しを求めたのでしょうかね。
「血」はパワーの源!
「血」の意味を見ると、「ちが出るほどはげしいさま」「いきいきとさかんなさま」という意味があります。
いきいき【生き生き・活き活き】:意味① 新鮮で生気があふれているさま。② 元気で、活気のあるさま。コトバンク 大辞林 第三版から引用
さかん【盛ん】:意味
① 勢いがいいさま。
② 人が最も元気な時期にあるさま。気力などが充実しているさま。
③ 盛大に行われるさま。繁盛しているさま。また、広く行われるさま。
④ 積極的に繰り返し行われるさま。熱心。コトバンク デジタル大辞泉から引用
これらの意味から
総じて「血」という文字に、「勢いのあるさま」「エネルギッシュなさま」をみることが出来ます。
生化学から見れば、
血液中には動物が活動的に動くために必要な、
栄養や気体、免疫など様々なものがあの液体の中に入っていますが
「スッポン生き血を飲む。」という言葉が有名ですが
その生物の「血」を摂取することで、より活力のあるエネルギッシュなさまを求めることからも、
「血」という文字には「エネルギー」「生命力」と言われるものを見ることが出来ます。
「東洋医学」「鍼灸」においては
経験的に「血」という赤い液体を多量に失うと「死」に繋がると考え
「気」とともに「血」が体の中を巡ることで、
手足や臓腑を潤し、その動作や運動など正常な働きを支えると考えました。
解剖学が無かった古代中国においても
「血」という生命力の1つは、食べ物から摂取する「後天の精」(栄養)から作られると考えられました。
そのことからも
「血(けつ)」という文字にもつ「エネルギー」に気づくことが出来ます。
「血(けつ)」という考え方のまとめ
「血」の主な意味は「血液」
- 血液という意味以外に、勢いがいいさまをみることが出来る
「気」とともに「血」が体の中を巡ることで、手足や臓腑を潤し、その動作や運動など正常な働きを支える